『ハンニバル・ライジング』 by ピーター・ウェーバー
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読んだ/観た日:2020/04/13
☆映画総合:4.2
ストーリー:4.3
キャラ:4.0
映像:4.4
独創性:3.8
合理性:4.0
深さ:3.5
爽快さ:3.5
おしゃれさ:3.5
他の人におすすめ:3.0
あらすじ/概要
1952年のリトアニア。戦争で家族と死に別れ、記憶の一部を失ったハンニバル・レクターは、叔父の住むパリへ逃亡。そこで彼は美しい日本人女性と出会うが、ある日、彼女が市場で侮辱されたことを機に、レクターの狂気が目覚めてしまう。
感想/考察
二日間で一気にハンニバルシリーズみたが、めっちゃよかった。一番よかったかもなあ…迷うなあ…。
映像のリアリティがすごい。時代の進歩を感じる。
はじまりはハンニバルっぽくないなと思ったが、逆にハンニバルのベースに漂う高貴さがピュアに現れた感じがして納得。
ハンニバルの演技が最初は良かったのだが、途中からなんというか般若を意識しすぎたのか目がにらみすぎてた感がちょっと気になった。もうちょっとニュートラルで良かったんじゃないだろうか。あの般若の面というか、徐々に般若になっていくみたいな演技だったのだと思うが、若干の違和感があった。なんだろう…ちょっと般若っぽくしてやろう感が出てたというのか…殺すときとかそういう時はもう少しニュートラルでいて欲しかった。羊たちの沈黙での脱獄の時みたいな。でも全体としては適役だったと思う。割とすんなり受け入れられた。ちょっと骨格がシュッとし過ぎ感はあるが(笑)、羊たちの沈黙につながっていきそうな感覚はある。
最初の殺人への動線はもうちょっと慎重にいって欲しかったかもなあ…逆にさらっといきたかったのかもしれないが。
ムラサキさん中国人ですやん…まあ欧米人の日本人感ってそんなもんなんだろうなあ。そしてあのキャラに合う使える日本人がいなかったんだろう。日本人的にはやっぱり若干の違和感だが、でも役の雰囲気には合ってたと思う。
もうちょっとムラサキとポピール警視の苦悩みたいなのにフォーカスしてもおもろかったかもやけど、まあでもあれくらいがちょうどいいのか…
クラリスとムラサキ、あるいはミーシャがリンクしてくるのだと思うが、ハンニバルのクラリスに対する複雑な感情が、理解はできないがその複雑なままに感じられた気がする。そのへんは原作が優秀なのか、映画ではいじってあるのか…さすがに原作忘れてしまったが。
「食べる」という行為の本質を掘り下げざるを得ない。食べるということは、殺すということだし、取り入れて一つになるということだし、消化して配下におくということだし、それによって生きるということも内包する。ハンニバルはクラリスに対してどういう感情を持っていたのか。
ハンニバルという存在は、理解したいような理解したくないような、どちらかちょっとわからない。理解できない存在、理解を超えたであってほしいという願いがある一方で、それを理解してとりこみたいという感情も存在する。この世界の特異点を理解することで自分の世界への理解を深めたいと思う反面、これを理解してはいけない、あるいは理解できなからこそ美しいのだと思う部分もある。
ムラサキがハンニバル見捨てたのは微妙によくわからんかったな…あそこで捨てるのか…?まあ映画のシーン的にはそうなのか…
最後のシーンはちょっとチープな感じがしたなあ…他にアイデアがあるわけではないが、何かしらもうちょっとエスプリの効いたというか、おしゃれな最後があっても良かった気がする。